教育研究部会の取組

総括

教育・研究部会 嶋先生
教育・研究部会部会長
嶋 緑倫

 2020年4月13日に第1回「教育研究部会」が開催され、以後、新型コロナウイルス感染症対策本部と連動して教育・研究に関する様々な課題を検討し、方針を決定することになりました。4月は当面、対面授業を停止して教務システムで配信される教材に基づく自宅自習とし、臨床実習も延期としました。さらに、学生のインターネット環境に関する緊急のアンケート調査を行うとともに、教務システムやTeamsなどを利用した遠隔授業の実施体制を整備し、5月からの実施にこぎつけました。しかしながら遠隔授業では、十分な教育効果が得られないこと、学生間、教員とのコミュニケーションがとりにくいこと、実習は困難なことなど課題が残りました。6月からは対面授業と遠隔授業のハイブリッド授業を開始しましたが、感染対策の徹底、講義室の確保や学年毎の授業スケジュールの再編成などの作業に追われました。臨床実習は、画像や教材、シミュレーターを用いた方法での実施となり、病棟、外来及び手術室での実習は見送られました。しかしながら、臨床実習の効果が不十分であるとの意見が多く、6月16日より病棟、外来及び手術室での見学実習や学生同士の接触型実習を可としました。9月から医学科、看護学科において感染対策を遵守することを前提に、ようやく接触型実習も開始となりました。幸い、2020年度のCBT試験の本学平均は全国平均を大きく上回っており、コロナ禍における学生教育に大きな支障はなかったものと判断されますが、遠隔授業において学生の自己学習力をバックアップする必要が増しています。現在、本学が取り組んでいる反転授業などのactive learningの推進も重要な対策です。また、コロナ禍での教育の取り組みは、シミュレーション教育を推進させるきっかけにもなりました。文部科学省の感染症医療人材養成事業で1億円規模の補助金に採択されたことにより、高度シミュレーターの導入、教材のクラウド化やVRシステムを用いた臨床実習などが実施できることになりました。 併せて「未来への飛躍基金」からも高度シミュレーターの導入が承認され、今後、ポストコロナを見据えた卒前卒後の臨床実習の更なる充実が期待されます。

 コロナ禍でのもう一つの大きな課題が、学生の支援でした。来学制限に伴い、新入生同士や先輩、教員との関係性を築くことが困難であり、学生の様々な不安や疑問を解消し支援する必要がありました。そこで、Teamsのチャット機能を利用したコミュニケーションの場を設定し、教務システムの授業掲示板も活用することになりました。遠隔授業支援特別奨学金の給付やパソコンの貸与などを行い、本学同窓会からもパソコンの貸与に関する支援を頂きました。学生に対する医学情報の提供については図書館が中心になり、貸出図書の無償宅配、電子ブックのリモートアクセスを整備しました。対面授業の開始とともに自習室の利用も再開されました。また、学生総代と教員によるキャンパスミーティングでも意見交換を行いました。学生の活動としてクラブ活動の位置づけは大きいですが、対面授業の制限に伴い、クラブ活動の再開はなかなか困難でした。教育研究部会でも議論を重ね、7月よりグループ練習から再開することが決定されました。その際、感染症対策や国の方針、スポーツ団体から発表されているガイドライン等を参考に練習計画書を提出させ、医学部長が確認・許可する体制にしました。

 感染者数の増加に伴い、本学の教職員や学生にも感染者が出ました。感染者の行動履歴や濃厚接触者の調査、PCR検査実施体制の確立、診療部門と教育部門との連携、保健所との連携など大変な作業の連続でした。特に、感染者が複数学年に及んだことや卒業後臨床研修前の感染者に対する対応に苦慮しました。現在、新型コロナ感染第6波に突入しており、今後も当分の間、コロナ対策の継続を余儀なくされると思われますが、これまで蓄積したノウハウを生かし、部門を超えた連携体制を構築していく必要があると考えます。

 総括して、課題は残されていますが、新型コロナ感染勃発後も本学の教育研究は一定のレベルを維持できたと思います。これまでご尽力いただいた各部局や講座の教職員の皆様に感謝いたします。

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